3月末に台湾に「卵子提供」が目的で初診に行ってきた報告をします。想定外のことが生じ(といっても対応済み)、筆を執るのにすこし時間がかかりました。
まず、私達夫婦が卵子提供として選んだ国は台湾です。見た目が日本人と区別がつかないくらい似ていていることと、国が社会政策としてきちんと管理しているという信頼感があること、あとは国民性として親日派が多く好感を持っていたことなどが理由です。ドナーさんの選択は病院に任せるので他国を選ぶ方もいるようですが、私達は台湾を選んでよかったと今も思います。
【想定外その1】
夫の精子が凍結に耐えられる値じゃなかったため、夫のみ改めて渡台してフレッシュな状態で顕微授精をすることになりました。渡台の時期ですが、台湾の政府機関にに卵子提供を受けることを認可されて(近親婚を防ぐために人工生殖法に則りドナーとレシピエントが国民健康署に登録されます)、ドナーさんが決まってからなので、約3ヶ月後くらいを予定しています。
考えてみると、たしかに日本での不妊治療でも医師のすすめでフレッシュな状態で顕微授精をしていましたので(ふりかけは一切なかった)、これは過去の実績をきちんと理解していれば予想できたことでした。しかし、私たち夫婦は全くそんなことは思いつかず(久々の海外旅行ですこし浮かれていたのかなぁ?)、これは私達の楽観主義ゆえの落ち度の一つでしょう。加えて、台湾の治療施設に事前に送付した検査データの中に精液データも含まれていたんですけど、おそらく培養士には共有化されていなかったのでしょうね。いざ、台湾の病院で採精したあと、培養士が二名現れ(わざわざ日本から来た我々にセンシティブな話をしなければせず、誠実に対応をしようと考えたのでしょうか)、直接話しがしたいとして日本人スタッフが間を介して、夫の精液の状態を説明してくださいました。日本よりも検査項目は多く、何が課題で凍結するとどんなリスクが有るのかを専門的に説明してくださいました。正直、検査項目の細かさは目からウロコの状態になるほど細かく精密でした。
今やLCCを使えば台湾の渡航費は安く、凍結費用に比較するとほぼトントンです。これに対しては前向きに捉え、今回は凍結せずに、改めて渡台し新鮮な状態で顕微授精しようと決断しました。
【想定外その2】
わたしの血液型はAB型で夫はA型です。私達二人の子供ならば、生まれる子供はA型、B型、AB型で、O型の子供は生まれないことになります(非常に稀に例外があるようですがね)。ところが台湾の血液型は人口の約半分がO型で、AB型の人口比率は日本の半分近くと少なく、ドナーさんの血液型をAB型に限定すると数が限られるということを知りました。
以前の投稿でいざ子供が生まれたら「子供の親を知る権利」「真実告知」をどうしようか迷っているという話をしましたが、私達としてはいつかは真実告知をするつもりだったので、ドナーさんの血液型をO型以外に広げました。これはドナーがA型、B型だった場合、O型の子供が生まれる可能性があるということです。でも、私たち夫婦にとって優先すべきは、妻側に外見や雰囲気が似ていることであり、もしO型の子供が生まれた場合、真実告知の時期と方法を具体的、現実的に考えるとして備えていこうと決めました。
台湾は「生殖技術」においては、日本より技術的にも社会的論議としても進んでいるようです。今回、機会に恵まれてドナーとして卵子提供をした20代の女性と話をすることができました。卵子を求めて渡台する外国人は、日本と香港が多いそうです。率直に「外国人に自国の卵子が行くことについてどう思うか」と尋ねたところ、「子供が欲しくても授かれない人がいることを知り、自分でもできることをやりたかった。それが外国人でも女性として助け合いたい」と考えているそうです。当事者に話が聞けたことは現地に行って良かった、有意義なことの一つでした。
想定外のこともあったし、わたしが提供を受けられるのは予想よりは先になりそうですが、一歩踏み出して良かったと思います。
#体験談 #顕微授精 #卵子提供