14年前の話です。
私はまだ高校生でした。
担任の先生は、40代前半の既婚女性でした。
私は、その先生がわりと好きでしたが、生徒に不人気で小馬鹿にされるタイプでした。
ある日、その先生が担当教科の授業をしている際、子どもの有無の話になりました。
先生は、結婚されて10年ですがお子さんはいないとのことでした。
生徒たちは悪気なく「なんで?」「子供欲しくないの?」と口々に問いかけました。
先生は、「夫婦二人でも楽しいよ」「子どもが欲しくないとかではなかったよ」と多くは語りませんでした。
でも、アホな高校生には格好のネタで…「旦那に抱いてもらえないんだ」「もうすぐ離婚されるんじゃない?!」「もう夫婦仲冷めきってるんでしょ」と笑いながら…馬鹿にしていました。
私は、『また馬鹿にされてる…でも10年子ども居ないって、もう旦那に相手にされないんだろうな…』と心の中で思ったことを覚えています。
本当に無知で浅はかで大バカでした。
3年前、その先生に偶然会いました。
お互いの近況を話し、楽しい時間を過ごしました。そのときは、私もまだ結婚1年程で不妊治療もしていませんでした。だから当時の先生と自分を重ねることもなかったんです。
それから月日が流れて不妊治療に苦しむ中、当時のことを思い出してきました。
先生が不妊治療していたかは知りませんが、『子どもを望まなかったわけではないこと』『夫婦二人で生きることにしたこと』この2点は確かです。
あの時、先生どんな気持ちだったのだろう…
結婚の意味もわからないようなアホな高校生たちにセクハラ発言されて。
自分が先生の立場だったらキレて殴りかかってるかも。
すごく辛くて悔しく悲しかっただろうな…
でも先生は困った顔で苦笑いしているだけだった。
先生は、旦那さんの仕事の都合で生まれ故郷の関西地方から九州地方のど田舎に引っ越して来ました。
そんな夫婦が、冷めきっているわけ無いですよね。
子どもがいなくても10年連れ添っているって、むしろ夫婦愛最強ですよね。
また先生に出会えたら、今の自分の状況を聞いてもらいたいな。そして先生の夫婦の話を聞かせてもらいたいな。
不妊治療を通して、少しは視野が広がり、人の気持ちを考えられるきっかけになったことは良かったことの一つです。