不妊治療のスタートのはじまりは何?

 


監修医師:中野ひとみ
【経歴】 鹿児島大学医学部卒業 総合病院、不妊治療クリニック勤務を経て 現在は東京都内の婦人科クリニックに勤務
【資格】産科婦人科専門医、新生児蘇生法コースA修了、アロマテラピーアドバイザー
【所属学会】日本産科婦人科学会、日本女性医学学会


現在の日本において、不妊に悩む夫婦は晩婚化などの影響もあり、10組に1組とも6組に1組とも言われています。そこで今回は、不妊症の定義、不妊治療の内容について紹介いたします。

不妊症の定義とは?

「不妊症」とは、何らかの治療をしないと自然に妊娠する可能性がほとんどない状態のことを言います。健康な男女が避妊をせず、夫婦生活を営んだ場合、一定期間内に多数の方が妊娠します。

一定期間を過ぎても妊娠しない場合、不妊症と診断されます。一定期間については、日本産科婦人科学会が平成27年8月に従来の「2年というのが一般的」から「1年というのが一般的」と変更するのが適当であるとしたため、現在は「1年」というのが不妊症の定義として一般的となっています。(年齢によっては「1年」を待たずに不妊症の診断・治療を行うことがあります)

不妊治療のスタートは「検査」から

不妊治療の最初のスタートは、婦人科や不妊治療を専門に行っているクリニックなどで検査をし、不妊の原因を調べることです。当然のことながら、男性・女性双方に不妊の原因がある可能性があります。男性・女性ともに検査を受けることが重要です。

女性は基礎体温表の確認、血液検査によるホルモン測定、エコー検査、子宮卵管造影、頸管粘液検査などが、男性は精液検査、血液検査などが行われます。

検査の期間は短くても1ヶ月、長くて半年ほどかかることもあるので、後の治療のことも考えると、できるだけ早いタイミングで検査に行くことが望ましいと言えます。

具体的な不妊治療の内容とは?

一通りの検査が終わったら(場合によっては検査を進めながら同時に)、その結果をもとにした治療に入ります。一言で「不妊治療」といっても様々なものがあり、通院の頻度や費用なども異なってきます。(避妊治療は、一部の治療を除いて保険適用外となるため、投薬や検査も含めて費用は自己負担となります)

不妊治療のステップを大きく分けると「一般不妊治療」「人工授精」「体外受精・顕微授精」の3種類となり、不妊の原因や年齢などに合わせて治療が選択されることになります。

■一般不妊治療

不妊原因が明らかでない場合や、まだ不妊期間が短い場合などにまず行われます。(年齢などによっては、このステップをとばすこともあります)

排卵のタイミングを予測して、排卵日の少し前に性交をして妊娠の確率を高める方法(タイミング法)となります。基礎体温表から排卵日を予測する方法、超音波診断により卵胞の発育を観察して排卵日を知る方法、LHサージ(LHが大量に放出されて排卵の引き金となる)を調べるキットにより排卵日を知る方法などがあります。

排卵が見られない時、また通常の排卵が行われない時は排卵誘発剤による治療も行われます。また、排卵数を増やし、妊娠の確率を高めるために排卵誘発剤を使用するケースもあります。

■人工授精

人工授精とは、精液を直接子宮内に注入する治療法です。精液を遠心機にかけ、良好な精子を濃縮して用いる方法が主に行われています。男性側に不妊の原因がある場合や、一般不妊治療で妊娠に至らなかった時の次の治療法として選択されることが多く、治療費は1回あたり3万円程度が一般的です。

【人工授精についての口コミ・プチブログはこちらから】

■体外受精・顕微授精

体外受精は、人工授精までの治療では妊娠が困難な場合に行われます。その名の通り、女性から卵子を、男性から精子を取り出して体外で受精を行い培養した後、分割した胚を子宮に戻す治療法となります。多くの場合、排卵誘発剤などで卵子を複数個育てて採卵します。

病院にもよりますが、体外受精は1回あたり約30万円〜50万円の費用がかかります。
今春の保険適用により、価格が下がっていることもありますので、病院でご相談してくださいね!

精子が少ない場合など、体外受精で受精に至らない場合などに実施をするのが顕微受精となります。体外受精の場合、精子と卵子を自然受精させますが、顕微授精は顕微鏡を見ながら、専用の針で卵子に精子を直接注入し受精させます。

顕微授精も保険適用外となり、1回あたり40万円〜60万円の費用がかかります。自治体によっては、特定不妊治療に対して助成金を支給しているところもあるので、お住まいの都道府県や市区町村などに確認をしてみてください。

まとめ

不妊治療の平均期間は2年強、平均治療費は140万円とも言われていますが、実際にはもっと長い期間、より多くの治療費となった方もたくさんいらっしゃると思います。
2021年の調査では600万かかったという結果もありました。

時間や費用を考えると、できるだけ早い段階で治療についての正しい知識を得て、自分のライフプランニングを考えておくことが非常に重要です。

特に年齢によっては妊娠を考えた段階で、早めに受診することを検討しても良いでしょう

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